財政のお話-05

日本の「財政破綻論」が始まったのが、1995年11月国会の、武村正義蔵相による財政破綻宣言でした。あれからすでに、四半世紀。 武村大臣が、「我が国の財政は事実上、破綻している」と、ぶち上げた時点の日本の国債発行残高は、225兆円でした。

 その後、日本政府が緊縮財政に転じ、経済がデフレ化。GDPが伸びなくなり、景気低迷で税収が大幅に減少する中、結局、政府は国債発行を増やさざるを得ない状況が続きます

そして、21年度補正予算案で20兆円強の新規国債発行を提案したため、2021年度末には国債発行残高が1000兆円を超すことになります。 国債発行残高、財務省式に言えば「国の借金」が四半世紀で4倍を超えました。 で? 財政破綻は起きたのでしょうか? 何も起きていませんよ~【笑】

もう一度言いますが、政府は過度のインフレにならない程度の必要額を国債発行して、それを日銀に買い取らせる事で、「無から金を産む」事が出来ます。これは国際社会では当たり前の事です。

長期債務のデーターは「政府の貨幣発行の記録」に過ぎません。プライマリーバランスの赤字とは「政府から国民への貨幣の供給」そのものです。👉 財務省の言う 「国の借金」は「国民の資産」です。 「政府の借金は、国民の財産」と覚えて下さい。 

先日、政府日銀は「紙幣発行権」があると説明しました。主権国家全てにあります。「国家が無から金を産む」ことが出来る前提条件は、「信用」です。(例えば、日銀が発行する製作原価1枚30円程の1万円札は、政府が担保しているから1万円として何の問題もなく流通しているのです) 

さて、経済の理想は、先日書きました「正しいお金の循環」が続くような緩やかなインフレです。

結婚して子供が出来て、毎年、給料が増え、家のローンが組めて、そこそこ好きなものが買え、国民大多数の老後が保障される右肩上がりの経済。これは、「一億総中流社会」と言われた約30年前までは当たり前でした。

それが今では、世界で最も悪質なデフレが27年も続いています。既に日本は末期的経済状況なのに、財務省や痴呆国会議員らは、それを放置するだけでなく、デフレ対策とは真逆のインフレ対策である財政緊縮の上に増税を続け、益々日本経済を悪化させています

下のグラフは、2015年を100の基準とした「実質消費支出数」で、日本の消費額からの景気動向を表しています。(2000年から2020年が横軸) 2014年と2019年の激しい上下動は、消費税の影響です。消費税が上がるたびに、景気が悪化している事が鮮明に判ります。

デフレ下の緊縮財政派(財務省:岸田派)は、「栄養失調で苦しむ患者」に「食べ物を与えるな!」と主張しているに等しいのです。体力・気力の限界は既に超えているので、ほっとけば普通に餓死しますよ。

追記:『 今現在、国際的な基軸通貨としてはドルとユーロがあります。「円」は準基軸通貨の扱いですが、基軸通貨に認められない原因は、主に防衛力にあると言われています。米の核の傘にある日本は、国際的に見れば半人前であるという事なのでしょうか』

さて次回は「何故そうなったのか?」と、誰が越後屋で、誰が悪代官のかを検証していきます。 1/14分

財政のお話-05” への6件のコメント

  1. ご無沙汰しております.こなです.

    寝るけーのさんの書き込みペースになかなかついていけないのですが,何とか書いてみます.

    本音を言いますと,この手の話をどこまで聞いても全く理解できないのです.というのは,所詮は理系脳の私にとって,お金と商品(サービス)の関係は「等価交換」だ,と信じているからです.

    自分が世の中に商品(サービス)を与えただけ給料をもらって,今度は自分が持ってるお金の分だけ,サービスを手に入れることができる・・・,いわば,経済界におけるエネルギの保存則です.

    そうやって,一生懸命働いた「ぶん」だけの利権を,ささやかに行使して,要するに贅沢を我慢しながら生活している,と考えているわけですよ.

    だとするとですね,政府だろうが何某かの権力者であろうが,一部の人がどんどんお金を「生み出して」いること自体が,なんかずるい! と感情的になっちゃうわけです.

  2. それで,よくわからないなーって,漠然と考えていたのですが,なんだか一つ,自分にもわかる(屁)理屈が見つかりました.

    ひんとは,これです.
    >経済の理想は、先日書きました「正しいお金の循環」が続くような緩やかなインフレです。

    政府の貨幣発行は,額面上は出超で貸借バランスを欠いているように見えます.が,よくよく考えてみると,それはちょうど等しく,インフレ分の補填になっているのですよね.

    物理法則のエネルギは,100年前の測定値も今の測定値も変化がありません.しかし,お金の額面の価値は,インフレと共に減少していっています.となると,要するに,明治以降の日本政府の借金は,大枠としては「その期間にどれだけ(世界で)インフレが進行したか」の証左でしかありません.

    こう考えると,私の中ではすっと腑に落ちました.

  3. だとすると,あとは大事なのは,世界におけるインフレ(=通貨の実質的な価値の劣化)にどれだけ歩調を合わせて,通貨を発行し続けるかの議論になります.

    ここから先は,皆さんご存じの通り,先に抜け駆けして沢山通貨を発行して,「暫定的に富がたくさんある」ように見せかけた国が,短期的には得をします.ですが,根本のところで体力がない国がこれをやりすぎると,ドーピングのし過ぎみたいになって,その後ハイパーインフレになっちゃう可能性があるわけです.

    ですが,私なりに世界を見てきた印象から言うと,日本は「ドーピング→ハイパーインフレで体ボロボロ」には最もなりにくい国の一つでしょう.というか,それ以前に,日本が少しでも抜け駆けしようとすると,世界の多くの国から,「おい日本,ずるすんなよ!」とけん制されます.

    はやい話が,日本は日本人が思っている以上に,日本は世界で注目されているのです.だから,ハイパーインフレなんて起こそうったって,世界が許容しません.ちょっとした円安誘導だって,すぐに世界の各所から文句言われますからね.

    他方,寝るけーのさんが示すデータの多くは,日本の通貨発行量が,世界のインフレに追従できていないことを示しています.ということは,短期的には日本人は現金を持っていないわけですから,貧乏に見えてしまうわけです.これが,平成より続く日本の閉塞感の根源ではないかと,私は確かににらんでいます.

  4. 理系脳の私から見ててインフレ(=通貨の劣化)の議論が難しいのが,それが鶏か卵かはっきりしない,つまり原因と結果の因果関係が不明瞭だからです.

    インフレは起きるの? 
    それとも,起こすものなの?

    全ての経済論議が,インフレが国家にとって自律的なものか,他律的なものかの定義がはっきりしていません.実際,どちらでもないというのが正解なのでしょう.

    ですが,国家経済を運営するという価値観で観た限り,インフレは「起こすもの」と考えなければ,そもそも運営は出来ません.

    前述の通り,市井の人は「金とサービスは釣り合っている」ことを前提に生活をしています.ということは,「基本的にはモノやサービスの価格を上げたくはない」のです.一方的に値上げをしていく店には,誰だって行きたくない.

    理系的な「金とサービスのつり合い論」からすると,平成不況の中の,インフレなしでも循環する日本経済は理想的な状態と言えなくもありません.経済的な「公平性」に関して人々は,ある種納得できたのだと思います.だから,暴動的な不満の噴出もありませんでした.生産性も低く賃金もくそ安い深夜のコンビニバイトでも,なんていうか,それなりに満足していたわけです.

    「国民総くそ真面目」

    でした.

    で,そういう価値観の人から見ると,今更,泉の底の栓を抜いて(日銀から)あぶくのごとく,金を市場にぶくぶくわき出してくる,というのは気に入らない.繰り返しますが,少なくとも現代の「公平性絶対! 真面目な日本人たち」からは,自然とインフレを発生させることは出来ません.

    繰り返しますが,「公平性が担保」されていること自体はいいことですよ.でも,だからこそ,日本人に「自然なインフレ」を促すことは非常に難しい.自動車大手などはベアをやっているとはいえ,なんていうか,誤差みたいな話でしかない.

  5. 政府主導でインフレを誘導しないと,世界のインフレ(=通貨の増加=本質的には通貨の額面当たりの価値の劣化)に追従できない・・・,というのが,おそらく寝るけーのさんの御主張の本質ではないかとにらんでいます.

    後は,世界の流れとどれくらい歩調を合わせるかです.しかも,時々は抜け駆けして先に通貨量を増やす(インフレターゲット)をしないと,経済が循環しない.国際社会は,日本人が信じている公平性よりも,よっぽど「ゲーム」的です.

    少なくとも私の関連する理系分野での,やれSDGsに絡む,再生可能エネルギーの方がいいのだとか,居やあっぱり原発は安全なのだとか,EVシフトだとか・・・,理屈が正しいとか何とかよりも,要するに世界における利権のつかみ合いゲームです.ま,気になる人は,世界の原油使用量の推移をググってみてください.日本政府の借金同様,どこまで行っても単調増加です.

    「赤信号(環境破壊),みんなで渡れば(お互いに抜け駆けして石油使っちゃえば)怖くない!」

    です.まぁ,この話は後に取っておきましょう.

    話を戻すと,少なくとも世界のインフレに歩調を合わせないと,日本経済,ひいては日本人の生活が疲弊するわけです.「金とサービスのつり合い論」,「公平性」のみを信じている限り,事務職でも製造業でもコンビニバイトでも,途上国(世界の平均)と同等レベルまで落ちていく未来しかありません.

    国境で区切って,関税で守って,ゲームの一部としてちょい悪抜け駆けして,金をばらまいて円安誘導して・・・,とあの手この手で「誘導」しないと,結局は,経済なんてものはうまく循環しないのですよね.

    何がアダムスミスで何がケインズか,私は全く理解していませんが,とにかくそういう肌感覚を持っています.

  6. これで最後にします.

    しつこいですが,それでも理系脳の私,そしておそらくそれなりに真面目に生きている私は,「金とサービスのつり合い論」や「公平性」に対する信認を投げ捨てる勇気がありません.

    それが国家であろうとも,勝手に借金していっていいというのはどこか気分が悪いのです.

    そんな私も腑に落ちる一つの言葉を見つけました.それは,

    「お金は生鮮食品論」

    です.まぁ,生鮮食品というのは極端で,実際はお米くらいの保存は効く(貯蓄ですよね)のですが,いずれにせよ,蔵に納めておくだけでは結局劣化する.この劣化こそがインフレなのですが,とにかく,蔵に収めていると次第に劣化するのだ! というイメージをお金に付与することが肝心です.

    先ほどはインフレ無くても日本経済は循環していると書きましたが,実際は,将来の不安にさいなまされて,みんなお金を蔵にしまったままなのですよね.だから,実のところ,政府が通貨を発行したところでそれは蔵にどんどんしまわれていくだけで,経済の循環を生み出さない.

    ということで,政府なりがある程度主導してインフレ誘導することで,貯金の(額面は増えても)実質的な価値が劣化するイメージを作り出すことで,蔵から金を出して使ってもらうわけです.

    無論,お金は生鮮食品みたいに劣化する! だけを言ったらさらに不安になるだけです.それに伴って,お給料の額面もインフレしてもらわないと困ります.そのためには,多くの業界で継続的なベアのイメージが定着することが必須ですが.

    ・・・,私の理解したことは,まぁ,ここまでです.

    公平性とゲーム性のバランス.先に物価が上がるのか,給料が上がるのか? 巷で多くの人が主張する,貧富の差の拡大(と言っても,日本のそれよりも,英米を中心とした一部の富豪による富の独占のレベル)と,その流れを日本企業も受けて,企業法人は栄ども一般職員の給料はちっとも上がらない問題などなど,よくわからないことばかりです.

    今はバブルと揶揄されますが,私は正直あの時代が懐かしいです.あの時も結局はマネーゲームで億万長者の社長さんが数多生み出されましたが,それでも日本人の社長さんは押しなべて,世界の富豪に比べて雀の涙程度の給料で満足していました.

    あれゆる人間を損得計算だけの合理的なコマとして考える経済理論だけでは,経済の実際を読み解くことができない・・・,のだと思います.

    松下幸之助さんとか,ホンダの藤沢さんとかがご健在なら,今日の日本の(いや,世界の)状況を見て,一体どのような言葉を語り,どのように行動されるのでしょう.

    結局,私には経済(哲学)は,ちっともさっぱり分からないままなのでした.