山田羽書

先日、TVで名前の由来を探る番組を見ておりましたら、現在の紙幣の成り立ちがハッキリと理解できました。 http://www.isekawasaki.jp/hagaki/ 日本最古の紙幣「山田羽書」

 山田羽書とは

山田羽書は日本最古の紙幣で、1610年頃、神都伊勢山田(現伊勢市)の町衆によって生み出され、明治時代まで約250年間に渡り、神都伊勢周辺で流通した紙幣です。

なぜ「山田羽書」が伊勢の地で生まれたのか?

伊勢のまちはその歴史的・地理的な特殊性もあって早くから商業が発達し、また御師(おんし:伊勢神宮の下級神官であった有力商人たち)の信用力が大きく、信用経済的な萌芽の素地が形成されていた。

特に室町時代以降、当地は御師を中心に自治が行われ、神都伊勢の風土に培われた信用力と、自治都市運営に対する町衆の力が相まって、地域経済上、個人の手形的なものが次第に紙幣の形態を整え、独自の紙幣「山田羽書」が生み出されたのであろう。

関東の金遣いと上方の銀遣いという貴金属貨幣の使用の東西差があった江戸期、東西の結節点である伊勢では金銀貨をいずれも使用するという状況下にあり、秤量(しょうりょう)貨幣(かへい)であった丁(ちょう)銀(ぎん)(慶長銀)の切(きり)銀遣(ぎんづか)いが禁止になった  17世紀初頭に小額銀貨の補完を主目的として預(あずかり)手形(てがた)の様式を応用・発展させる形で発生したと考えられる。【終わり】 

 1600年が関ヶ原の戦いで、大阪夏の陣が1615年、その翌年に徳川家康が亡くなります。その頃に、「山田羽書」が生まれたわけです。

 ここは大きなポイントです。金や銀という実際に価値があるものではなく、ただの印刷紙を「紙幣」としたのですから、信用取引をするためには「信用」を付加する必要があります。

 そこで、お札(ふだ)に、仏様や神様の御朱印をつけて人々に信用させ、少額取引に利用したのです。

 特に、お伊勢参りなど、上方や江戸の人々にとっては一生に一度の悲願の旅ですから、まさかの時のために着物の襟もとに小判を縫い付けていたくらいに、結構大金を持っていました。

 また、江戸は金、上方は銀、庶民は銅と言われるように、流通する場所と身分が違うと両替が必要となる。

 しかし地方では、両替屋なんてものは無いので、蕎麦(16文:400円)を食べて小判(5000文:12万5千円)や、銀で支払いたくても、蕎麦屋のオヤジは釣銭が無い。そこで、銀一匁(80~100文)などと交換できるお札を作ったってわけです。

 これが兌換紙幣か?不換紙幣か?となると、どちらかと言えば不換紙幣になるんだろうと思います。兌換紙幣は、正貨(金貨・銀貨など)と交換義務がある紙幣ですから、これはあり得ませんし、通貨量が操作できて景気対策を行いやすい処を考えれば、不換紙幣と考えて間違いないと思います。

今の先進国の通貨も、国家の信用を基に使われていますし、金の保持量で国内通貨量を決める金本位制を取っていませんから、全て不換紙幣です。これが、あの時代に出来た事も驚きですが、江戸時代初期の流通経済の完成度にも感服します。

 ここから思う事。

 今で言う地域通貨。この走りでもありますが、国際的な地位も高く、通貨発行権のある国の紙幣なら、需要と供給のバランスを調整し、供給量全体をオーバーしなければ、需要があるだけ紙幣を発行できることになります。

 経済って、意外と単純明快です。今のデフレ時代に、インフレ対策である消費税を上げると、益々景気は悪くなる。

 日本の輸出入はGDP比で27%。残り73%は国の内需です。つまり、消費が上がれば景気が上がる。その消費に税金を掛けるのですから、来年のオリンピックが終わるころから、日本の景気は最悪になり、昇り調子だった雇用も、各会社の業績不振で、真っ逆さまに落ちます。

お子様が来年就職されるなら、とにかく独自の製造部門のある中小企業が狙い目。これから、また長い冬の時代がやってきます。

 デフレではアメリカのように、減税が必要です。今の経済の仕組みを最も理解して、有効に金を回しているのは、皮肉なことにシナだと思います。 

 以下は付録です。

1文が約25円。「小判一枚=二分金2枚=5匁銀12枚=5000文=12万5千円」

 白米1升50文=1250円。酒1升164文=4100円。蕎麦一杯16文=400円。髪結床24文=600円。入浴料8文=200円。九尺二間長屋の店賃一ヶ月400文=一万円。相撲見物72文=1800円。吉原太夫揚代銀76匁=12万6000円。

小判1枚で、大人一人の一年分の米が買えたと言われています。

「農地一反=米一石=10斗=100升=1000合=重さ150㌔」です。

江戸時代、一日2食の習慣が3食になりました。当時、一食に米一合食べていたようですから、3合×360日(太陰暦)=1080合。一升50文ですから一合は5文。 5文×1080合=5400文=13万5000円。

成程、ほぼそのようです。それにしても、一日に3合とは昔の人は大食いですね。

 

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